シン・エヴァンゲリオン劇場版感想

シン・エヴァンゲリオン劇場版を観てきた。

 

はてなブログに移る前、学生の時からずっとはてなダイアリーを利用してきた。

最後の記事はヱヴァンゲリヲン劇場版:Qの感想だった。

あの内容にブチぎれて批判をかまし、その勢いでブログを辞めてしまった。というか放置していたらはてなダイアリーが終了し、データ移行もしていなかったのでそのまま消滅してしまった次第である。

 

あれから8年。やっと続きを書く日が来た。

観るのが怖かったが、観ないわけにはいかんでしょ。ということで公開から数日遅れでやっと映画館に行ってきた。

 

――――以下ネタバレ防止のため折り畳み――――

 

 

シン・エヴァンゲリオン、よかったじゃん!!!!!

どうしたの!!!びっくりだよ!!!

なんかこう、こうなったらいいな…みたいな妄想を全部吸い取った上にさらに上を行かれたよ!!

 

予想通りだった点

シンジがゲンドウと対決して、世界をリセットする。それがいい世界になるのか旧劇場版の踏襲になるのか、さらに悪くなるのかは不明だがとりあえずリセットはするだろう

綾波は戻ってくるだろう

カヲルもまあ死んでないだろう

 

びっくりした点

シンジが立ち直るシークエンスが農村だった。というか実質的に黒綾波が主人公じゃん!

エヴァで田植えとかする!?プラグスーツ田植えという新しいジャンルが誕生した

 

よかった点

黒波が農作業&人間とのかかわりで急速に成長する→シンジにアプローチする→シンジが解毒される、という流れがよかった。直接的でなくって。

 

シンジは結局落ち込むだけ落ち込むんだけど、おなかがすいて我慢できなくなって泣きながら黒波の持ってきたレーションを食う。そこで吹っ切れるというのはよかった。さんざんジブリとか他の映画でも扱われた動きなんだけど、エヴァで最後にそこにたどり着くのは「やっぱりそうなんだよな」ってみんな思うからなんだ。「飯食わせて立ち直ればいいだろ」ってすぐにやるのと、そこをやらずに散々(25年?)引っ張りまくって「やっぱり飯食わんとだめだったわ」ってなるのは全然違う。

 

回りの大人たち、ていうかケンスケやトウジがシンジを気にしてるんだけど、干渉しすぎることもなく、完全放置でもなく見守りつつ「立ち直るには時間が必要だからな」って言ってるのよかった。完全放置だと、シンジ君たぶん餓死してた可能性があるが、そこは綾波が通うようになったからタイミングがよかった。

 

あの第三村シーンは、これまでのエヴァで一番変わったところだったと思う。あれだけ力を入れてやってきたってことが、シンジを変えたし今回のラストにつながった。あれがなかったら今までの繰り返しというか、焼き直しの続きだったんじゃないか。

 

微妙だった点

アスカが無理矢理シンジに食わせるシーン、あれ死ぬのでは??

演出なんだろうけど画面が揺れまくるのきつかった…

全体的にアスカが(文字通り)暴力的なんだけど、それは今回アスカの出自が綾波と同じくクローン/人造人間だった(そしてそれを自覚していた)とことつながってるんだろうな。睡眠も食事もいらない、破で9番目の使徒に侵食されたんで半分使徒化してるし、人間から一段階別の存在になってしまった。でも感情はある。本編でもアスカ自身がしゃべってたけど、感情があるから暴走するんじゃなくて、感情がないから暴走する仕組みになってる。感情があれば「人類皆殺し」とか「宇宙消滅」みたいなことはそうそうできないからだ。というかそういうことをできないようにするリミッターみたいなものとして感情装置が組み込まれてるということなんだろう。だからシンジのことも見過ごせない。ただし人間の肉体とはだいぶ違うのでなんつうか、バーサーカーみたいな存在になっちゃってる。「ヴィンランド・サガ」のトルケルみたいな奴。そう思ってみたら納得できる。

 

以下、雑感。

シンジが「落とし前をつける」という14歳らしからぬセリフを吐きまくった今回、ちゃんとこれまでのエヴァンゲリオンに落とし前をつけた作品だった。ラストの戦い、あれも今までのエヴァが虚構だったんだよという舞台設定になってた。マイナス宇宙を人間の認知に落とし込むとこういう風に見えまっせ、という説明にはなってたけど、ようは精神世界で戦うんや!ということだよね?なんか3Dでくねくね動くなーと思ってたら実は張りぼての舞台だった。ゲンドウの攻撃でシンジの乗った初号機が町の果てまで吹き飛ばされる。そこからさらに後ろにいくと、見えない壁がある。見えない壁に背中を打ち付けると実は布張りになってて、特撮の撮影現場になっていた。ハリボテの街に、ハリボテのセット。ちゃんと舞台もある。そこからどんどん特撮の撮影現場が展開されて行って、ついには手持ちのカメラとエヴァの着ぐるみスーツまで登場し、プロジェクターでテレビシリーズから旧劇場版までのタイトルが映され、シンジがリセットを宣言する。「ネオン・ジェネシス!」

…大団円じゃん。

あんな押井守みたいな事ってある??最高かよ。大大大リスペクトじゃん。

 

唯一心残りだったのは黒波の処遇だけど、思い出したら最後でオリジナルの綾波が「ツバメ」のぬいぐるみを抱いていた。あれはオリジナルの綾波が知らない情報のはず。おそらく黒波が消滅したときに自分の持ってた情報を記憶を含めオリジナルに転送する仕組みになっているんだろう。ANIMAでもそういう設定だったし。ということはちゃんと救済措置があったんだ!と自分の中では勝手に思っている。

 

ゲンドウの内面があれだけさらけ出されたのも今回が初めてだったのではないか。いやーよかったね。実質自伝なのでは?絵コンテとしてしか描かれてないけどあれ、宇部でしょ。

 

あー宇部新川駅これから人増えるだろうなあ…。

 

というわけで、大大大満足でした。これから米作りも始まるし、がんばろう。