除草剤四方山話

今日は田んぼの除草剤を撒いた。バサグラン液剤を100倍に希釈して雑草に直接散布。

バサグランは中後期除草剤である。つまり、田植え後20日以降使用するもので、6−7月に使用すると思えば良い。

初期除草剤は田植え直前から5日後くらいまでに使用するものをいう。田植えの前にトラクターで代掻きをしてそれまでに生えていた植物を完全に土中に巻き込んでしまう。それらはもう基本生えてくることはないので田んぼの状態はリセットされるといっていい。つまり、代掻きをしたあと生えてくるのは土中の種が発芽するのであって、これを抑えてしまえば今後雑草に悩まされることはない。これを狙って撒くのが一発処理剤である。

うちでは毎年デルカットを一発処理剤として用いている。これは、トラクターで代掻きをした直後に散布すると、土中の種子に作用して発芽を抑制するもので、基本はこれだけ撒いておけば(そして成功すれば)その後に草が生えてくることはない。理論上は。

しかし、デルカットの作用機序はけっこうめんどくさいのである。ここで田植え直前の田んぼの断面を想像してもらいたい。上から空気、水、田んぼの土である。デルカットはこの水と土の境界に膜を貼るようにして広がり、そこにある種を殺す。もしくは土中から出てきた芽に浸透してそいつを殺す。実際には細胞分裂を停止させるとかそういうことらしい。この機序は一瞬ではなく、実際には1週間かけて行われる。

つまり、デルカットが効果を発揮するには田んぼのすべてが万遍なく水で覆われている必要があるのだ。そして、田んぼのすべてを水で覆うというのは意外と難しいのである。長年耕作しているとどんどん土に高低差が発生する。その差実に20センチ近く。つまり水を入れても水が当たらない場所が発生する。もちろんすべての土が水で覆われるまで水を入れて入れて入れまくってもいいのだが、そうすると最深部は30センチ程度になる。そこに15センチ程度の稲の苗を植えるとどうなるか。水没して光合成(に必要な空気の出し入れ)ができずに枯死する。まあそもそも田植え機の爪が届かないので水にプカプカ浮かんだ苗が発生するだけなんですけどね。

というわけで妥協してそこそこの水深にすると、必ず水で覆われていないところが出現し、そこにはデルカットが機能しないのでそこはコナギの群生地♪コナギの群生地♪(エロイムエッサイムの節で)バランガバランガ雑草が生えまくり状態になるのである。

じゃあ田んぼの高低差をなくせばいいのではという話になるがそれはまた後日。